春の不眠?肝(かん)のケアが大切!
- 漢方まりも(店主:まりこ)
- 4月17日
- 読了時間: 6分
ここ最近、ぽかぽかとした陽ざしが心地よく感じられる日が増えてきましたね。
日によっては、ちょっと暑いかもと思うくらいの気温の時があって、着ている服も脱ぎ着できるものじゃないといけないな~なんて思ったりしています。
この季節、気温の変化が大きかったり、新しい環境での生活が始まったりと、心も体も知らず知らずのうちに頑張りすぎてしまうことがあるんですよね・・・。
春は、自然の流れと同じように、私たちの体の中でもエネルギー(気)がぐっと動き出す季節です。
新しいことにチャレンジしたくなったり、やる気が湧いてきたりと、気分が上向く一方で、
「気分が落ち込みがち」
「なんだか寝つきが悪い」
「夜中に何度も目が覚める」
「夢ばかり見てぐっすり眠れない」
など、眠りに関するご相談がぐっと増えるのもこの時期の特徴です。
東洋医学では、こうした春の不眠には「肝(かん)」の働きが深く関わっていると考えられています。
今回は、そんな春の不眠と肝のケアについての話です。
肝と睡眠の深い関係
近頃、なんだか気分が晴れない、眠ろうとすると余計に目がさえる、しっかり寝たはずだけど昼間も眠くて・・・といった声をいただくことがあります。
東洋医学でいう「肝」は、西洋医学でいう肝臓とはちょっと意味合いが違ってて、主な働きとしては血を蓄えて心に送ったり、気の巡りをコントロールしたり、自律神経のバランスを整えたりする、すごく大事な役目をしてくれています。
でも、忙しかったり、ストレスが続いたり、寝不足が続いてしまうと、肝に蓄えられるはずの血(けつ)が足りなくなってしまいます。
血は不足してしまうと精神的に不安定になってきます。
そうなると、夜になっても気持ちが落ち着かず、頭だけが冴えてしまったり、眠っても眠ってもスッキリしない感じがしたり…。
夢ばかり見て疲れる、というのも、肝がうまく働けていないサインかもしれません。
肝(かん)の不調は睡眠だけではなく、他にもあります。
・目が疲れやすくなったり、目のかすみを感じる
・筋肉がピクピクとひきつるような感じや、こむら返りなど
・爪が割れやすくなったり、もろくなる
・生理のリズムが乱れたり、PMSの症状が出たりする
こうした小さな変化も、肝の血不足が背景にあることも少なくありません。
肝に蓄えられる血は、まず心(しん)へと送られ、それから全身に巡っていきます。
この心というのは「精神の安定」と深く関わっている場所なので、肝の血が足りなくなると、心までうまく働かなくなってしまうし、カラダの各部分に血が届きにくくなります。
その結果、「理由もなく不安になる」「ちょっとしたことでイライラする」など、気持ちが不安定になったり、必要な個所に血が行き届かないせいで不調が出てきたり。
肝の不調は、眠れないだけじゃなくていろんなところで発生し、心と体が出しているサインでもあります。
そのサインはちょっとしたことかもしれませんが、疲れを感じるようであれば体と心の声に注目してもらいたいなと思います。
肝の血を増やすには? 眠りのゴールデンタイムがカギ
では、肝の血を増やすにはどうしたら・・・?
東洋医学では、眠っている間は肝の血を養う大事な時間だと考えられているんです。
特に大切なのが、丑の刻(深夜1時から3時ごろ)です。
この時間帯は、肝がせっせと血を蓄える時間とされていて、ここでしっかり眠れているかどうかが、肝の健康に大きく関わってくるんです。
とはいえ、現代の生活だと、なかなか理想の時間に合わせて生活するのって難しいことも多いですよね。
寝る直前までスマホを見ていたり、つい夜遅くに食事をしてしまったり、お酒も飲んじゃったり…。
私自身も「昨日はちょっと夜ふかししてしまった・・・」と反省する日、あります・・・。
特に不調を感じていなくても、毎日の生活をできることから少しずつ整えていくことは、将来の健康のためにもとても大切だと思っています。
たとえば、
・夜はなるべく照明も明るすぎないように意識して、スマホは早めにおやすみさせる
・遅い時間のごはんは、なるべく軽めにして、消化の負担を減らす
・朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びる習慣をつける
そんなちょっとしたことでもいいのでやってみませんか?
体のリズムが整いやすくなり、眠りの質も自然と良くなっていくと思います。
それからもうひとつ、忘れたくないのが
「ストレスをためこまないこと」
肝(かん)は、ストレスの影響を大きく受けてしまう部分です。
適度に体を動かしたり、自分の趣味や好きなことに集中する時間をつくることも、心と体をゆるめてくれて、肝のケアにもつながる大切な時間になります。
無理なく、少しずつでいいんです。
できることから始めて、あなたがホッとできるような毎日を整えていってほしいと思います。
自分の「不眠タイプ」を知って、体質に合ったケアを
「眠れない」とひとことで言っても、その感じ方や原因って、本当に人それぞれです。
寝つきが悪い、途中で目覚める、寝ても熟睡してる感じがない、など不眠にもいろんなパターンがあって、それぞれの悩みを抱えていらっしゃいます。
東洋医学では、不眠もいくつかのタイプに分けて考えます。
・気虚タイプ
体も心もエネルギーが足りず、力そのものが弱っているタイプ。なんだか常にぼんやりして、眠っても疲れがとれない感じ。
・気逆タイプ
気の流れが逆流して、頭にのぼってしまっている状態。寝ようとするほど頭が冴えてしまったり、興奮して目が冴えるタイプ。
・気滞タイプ
気の巡りが滞って、イライラしたり、モヤモヤしたり。考えごとがぐるぐるして、悪夢を見たり変な夢ばかりみて疲れてしまうタイプ。
春は特に「気」が活発になる季節なので、こういった不調が出やすい時期なんです。
睡眠に影響が出ると、翌日の仕事にも影響してしまうので、大変ですよね。
もちろん、西洋医学での睡眠薬も必要なときには大切な選択肢のひとつだとは思います。
でも、日中の倦怠感や、飲まないと眠れない…という依存性への心配が出てくることもありますよね。
漢方薬は、その方の「体質」や「眠れなくなった背景」に合わせて処方を考えるので、自然の力を借りながら、少しずつ眠れる力を取り戻していくことができます。
「私って、どのタイプだろう?」って思った方は、ぜひ一度、お話を聞かせてくださいね。
体と心の声を一緒に丁寧に拾いながら、あなたに合ったケアを見つけていけたら嬉しいです。
一人で悩まず、相談を!
漢方まりもでは、心と体の両面から丁寧にお話を伺い、あなたの体質に合った漢方をご提案しています。
不眠に限らず、なんとなくの不調でもお気軽にご相談くださいね。