女性の体は、7の倍数で変わる?|更年期を東洋医学と現代医学から考えてみる
こんにちは、漢方まりもです!
さて、今日は女性の「年齢による体の変化」のお話です。
ご相談のとき、お客様から「これって年齢のせいですかね?」「もう年なので、しょうがないですよね」という言葉を聞くことがあります。
たしかに、年齢を重ねると体は少しずつ変わっていきます。
ある程度は加齢に伴って、若いころのようにはいかないことだってありますよね。
でも、すべてを年のせいにできるわけではありません。
年齢を重ねてもめちゃくちゃ元気に活動している人はいるし、若くても疲れやすくて、すぐバテてぐったりしちゃう人もいる。
これまた、人それぞれなんですよね。
それに、「最近、調子が悪いな~」と思っていたとして、それが本当に年齢のせいなのかどうかは、わかりませんよ?
実際、「いや、あなた、まだそんな不調が出るような年齢じゃないですよ!」という方もいらっしゃいますしね。
よくよくお話を聞いてみると、忙しくてゆっくりする時間がなかったり、(明らか睡眠不足もある)職場や家庭でかなりのストレスがかかる出来事が起きていたり・・・
「年齢のせいかな」と思っていた不調に、別の要因が重なっていることも少なくないんですよ。
とはいえ!老化は誰にも避けられないものでもあります・・・
徐々に忍び寄ってきて、いつの間にか、「あれ? 前とは違うな」と感じることだってあります。
でも、その変化って、ある日突然「はい、今日から何歳になったので、これは老化現象です!」となるわけではありません(笑)
(当たり前か・・・)
では、昔の人は、年齢による体の変化をどう考えていたのでしょう?
東洋医学の古典には、女性の体の変化を「7年ごとの節目」として捉えた記述があります。
『黄帝内経』に書かれた「女性の7年ごとの変化」
『黄帝内経(こうていだいけい)』という、東洋医学を学ぶうえでとても有名な古典があります。
その中の「素問」には、女性の成長から加齢に伴う変化について、7歳、14歳、21歳、28歳、35歳、42歳、49歳・・・という「7の倍数」で書かれている部分があります。
ざっくり要約すると、こんな感じです。
7歳
腎気が盛んになり、乳歯から永久歯へ生え変わり、髪が伸びてくる。
14歳
「天癸」が至り、任脈が通じ、月経が始まるなど、女性としての生殖機能が整ってくる。
21歳
腎気が整い、歯が生えそろう。
28歳
筋骨がしっかりし、髪も豊かになり、身体が最も充実している時期。
つまりピークとして描かれています。
35歳
陽明の脈が衰え始め、顔の色つやに変化が出たり、髪が抜け始めたりする。
42歳
さらに三陽の脈が衰え、顔の色つやが衰え、白髪が出始める。
49歳
任脈が虚し、太衝脈が衰え、「天癸」が尽き、月経が止まって、生殖能力が失われる
・・・という流れで描かれています。
こうやって並べてみると、「なるほど、昔の人は女性の一生を、7年ごとの節目で見ていたんだな」ということがわかりますね。
ちなみに男性は「8年ごと」で、64歳まで書かれています。
女性は7、男性は8・・・「
なんで?」と言いたくなりますよね(笑)
これは、現代の医学のように「女性の体は7年周期で変化する」という意味で読むものではなく、古代の陰陽論や身体観を背景にした、当時の生命観のひとつです。
それと、「女性は7年周期だから、35歳になったらこうなる!」と、そのまま現代の年齢表として当てはめるものではありませんからね?
49歳で女性の人生は終わり・・・ではない(笑)
ここ、最初に『黄帝内経』を読んだときに、私はちょっと引っかかりました。
だって、女性については49歳までしか書かれていないんです。
しかも28歳を身体が最も充実した時期として、その後は35歳、42歳、49歳と、加齢による変化がどんどん描かれていく。
「えっ、49歳で終わり!?」って思いませんか?(笑)
昔は今ほど長寿じゃなかったからなのかな?なんて考えたりもしましたが、でも、これは「女性の寿命」を表した年齢表ではないんですよね。
この記述は、女性の成長から成熟、そして生殖機能の変化を、年齢に沿って描いたものと考えるほうが自然です。
特に49歳のところは、現代でいう閉経にあたる変化と重なる部分があります。
つまり、「女性は49歳になったら老いて終わり!」という話ではなく、「女性の体は、年齢とともに変化していく。その変化を昔の人は7年ごとの節目として捉えていた。女性の大切な役割である出産を重要視していたため、閉経時期までを描いた」
・・・ということなんだろうと思います。
もちろん、現代の女性が49歳になったからといって、古典に書かれている通りの変化が起こるわけではありません。
閉経の時期にも個人差がありますし、見た目も体力も人それぞれ。
古典では、49歳をずいぶん老いているような描かれ方していますが・・・
(引っかかっている私)
でも現代では、49歳を「もうおばあちゃん」という感覚で捉える人はいません(キッパリ!)
ただ、古典が描いている「年齢とともに体の状態が変わっていく」という大きな視点は、今の私たちにも考えるきっかけを与えてくれてるとは思います。
まあ、「49歳」という年齢が、現代の女性の更年期と重なってくるのも興味深いところですよね。
現代医学では「女性ホルモン」の変化から見る
では、現代医学では、更年期をどのように考えるのでしょう?
更年期には、卵巣の機能が徐々に低下していき、それに伴って女性ホルモンのひとつであるエストロゲンも、大きくゆらぎながら低下していきます。
日本人女性の閉経年齢は平均すると50歳前後ですが、40代前半から閉経を迎える人もいれば、50代後半の人もいて、かなり個人差があります。
そして、エストロゲンが大きく変動・低下することで、月経周期が変化したり、ほてりや発汗、睡眠の変化、気分の揺れ、疲れやすさなど、さまざまな症状が出ることがあります。(いわゆる更年期症状ですね)
ここでちょっと面白い(?)のが、脳と卵巣のやり取りです。
更年期になってくると減ってくる女性ホルモンに対し、脳の視床下部などから、「ホルモンが足りないよ。もっと出して!」という指令が出される。
ところが、卵巣の機能が低下してくると、「いやいや、そう言われても(出せないものは出せませんて)・・・」という状態になってくる。
無茶ぶりの脳に対し、NOを貫く卵巣さん・・・
「出しなさい!」「無理!」
脳からの指令と、卵巣の反応がうまくかみ合わなくなっていき、だんだん脳(視床下部)が混乱してきます。
しかも脳(視床下部)は、女性ホルモンの調節だけでなく、自律神経の働きにも関係しています。
なので、うまくかみ合わない更年期には、自律神経まで連動して乱れてしまい、体温調節や発汗、睡眠、気分など、いろいろなところに影響が出ることがあります。
だんだん、無茶ぶり(?)をしなくなり、落ち着いてきますが、更年期にはそのような要因もあり、「だから更年期って、こんなにいろんな症状が出るんだな」とイメージしてもらえると、少しわかりやすいかもしれません。
ただし、ここも大切なところですが、更年期だからといって、みんなが同じようになるわけではありません。閉経の時期だって、個人差がありますからね。
更年期になってもほとんど気にならない人もいれば、日常生活に支障が出るほどつらい症状が出る人もいます。(更年期障害と呼ばれるものですね)
それと、更年期症状には女性ホルモンの変化だけでなく、加齢による体の変化、心理的な要因、家庭や職場などの社会的な要因も複合的に関係するとされているので、単純に「更年期だから」「ホルモンが変動している時期だから」ってだけでは片づけられないんですよね。
漢方では「更年期だからそうなる」とは考えない
更年期の年代になると、いろいろな不調に悩む方が増えてきます。
でも、同じ更年期世代でも、「私は暑くて仕方ない」という人もいれば、「私はむしろ冷える」という人もいます。「眠れない」という人もいれば、「ずっと眠い」という人もいる。「イライラする」人や、「気持ちが落ち込む」人・・・
本当に、人それぞれなんですよね。
だから漢方では、「更年期だから、この症状」と一括りにするのではなく、「その人の今の体は、どんな状態になっているんだろう?」というところを見ていきます。
年齢だけではなく、食事や睡眠、疲れ方、生活リズム、季節、気持ちなど。
いろいろなものが重なって、今の体の状態ができていると考えるからです。
年齢を重ねることを「衰え」だけで見ない
東洋医学では、「精」という生命活動の土台となるものがあり、腎はそれを蔵すると考えます。
貯蔵庫ですね。
年齢を重ねることによって、この「精」も少しずつ変化していきます。
だから、年齢を重ねたら何もかも若いころと同じようにしようとするのではなく、今の自分の体に合わせて、無理をしすぎない暮らし方を考える。
そんな視点も大切になってきます。
「アンチエイジング」という言葉がありますよね。
若々しくいたい。
元気でいたい。
できるだけ老けたくない。
そう思うのは、もちろん自然なことだと思います。
私だって、できれば28歳のピーク時を保ちたいですよ(笑)
もうとっくに過ぎ去ってしまっていますが・・・
でも、年齢を重ねることを極端に嫌がり、「若いころの自分に戻すこと」ってだけで考えてしまうと、ちょっと苦しくなりませんか?
年齢とともに体は変わっていく。
それは、生きている以上、自然なことでもあります。
「衰えないように頑張る」だけではなく、「今の自分の体は、以前とは違うんだな」と知ること。
そして、「じゃあ、今の自分にはどんな暮らし方が合うんだろう?」と考えていくことも、大切なんじゃないかな~と思っています。
若いころには若いころの体があり、40代には40代の、50代には50代の体がある。
昔と同じように動けなくなったとしても、それは必ずしも「ダメになった」ということではありません。
体が変わったなら、暮らし方も少し変えていけばいい。
そんなふうに、自分の年齢と体の変化を知りながら年齢を重ねていくのってまさに養生なんですよね。
皆さんは、どう思いますか?



